注文住宅失敗談!!にしない
『住宅購入における資金計画のコワ~イ落とし穴・・・固定資産税と住宅ローン控除』

目次

  1. 1.「固定資産税の控除の特例が使えるのも期間限定!!住宅ローン控除で所得税が控除されるのは10年間or13年間!!」
  2. 2.「軽減・控除」特例の計算例
  3. 3.『所得税・住民税からいくら控除されるか計算してみましょう』
    *所得税から控除しきれなかった場合のみ記載しています。
  4. 4.【まとめ】

住宅の購入を考えた時「自分たちには一体いくらの家が買えるのか?」「月々いくらなら住宅ローンの返済ができるのか?」一番先に考えるところではないでしょうか。
住宅展示場へ行き、気に入ったハウスメーカーで話が進み資金計画も立て住宅ローンの審査も無事通ってひと安心!!

「安心するのはまだ早い!!その資金計画で大丈夫ですか?」

資金計画といっても「いくらの住宅ローンが組めて」「いくらの家が買えて」「月々の返済が今の家賃と変わらないから大丈夫」とそれだけで安心している方がほとんどではないでしょうか。
資金計画の時に住宅ローン返済開始から老後までの家計のキャッシュフローを把握して大丈夫と思っても「まだ安心ではありません」。
なぜなら住宅を購入した後に毎年払う「固定資産税」と所得税が控除される「住宅ローン控除」を理解し、その落とし穴も理解し資金計画をたてて「初めて安心」といえるのです。

1.「固定資産税の控除の特例が使えるのも期間限定!!住宅ローン控除で所得税が控除されるのは10年間or13年間!!」                        

固定資産税とは土地や家屋(不動産)、償却資産などの固定資産の持ち主が毎年納める税金のことです。つまり、住宅を購入し持ち主になったら、その住宅を所有し生きている間ずっと「固定資産税」を毎年納めることになるのです。

  • ①固定資産税には軽減措置や控除の特例があり保有している固定資産のうち、居住用の家屋の土地(住宅用地)には課税標準額から一定の割合を軽減するという特例があります。
  •  住宅用地で住宅一戸について200㎡以下の部分を小規模住宅用地といい、200㎡超の部分を一般住宅用地といい、それぞれに軽減の特例があります。

 

小規模住宅用地=固定資産評価額(課税標準額)×6分の1
一般住宅用地=固定資産評価額(課税標準額)×3分の1
 

例えば380㎡の住宅用地の場合だと
「200㎡までは6分の1」「200㎡を超えて380㎡は3分の1」となります。

 

  • ②新築住宅の場合は120㎡(課税床面積)までの部分について3年間・5年間にわたって固定資産税が2分の1となる控除の特例があります(2022年3月31日までに新築された場合)

 

*3階建て以上の耐火構造・準耐火構造住宅:新築後5年間
認定長期優良住宅の場合は7年間に延長
*上記以外一般の住宅:新築後3年間
認定長期優良住宅の場合は5年間に延長
 

*専用住宅・店舗併用住宅(居住用部分が1/2以上)
*居住用部分の課税床面積が一戸につき50㎡以上280㎡以下であること
(貸家住宅の場合は一戸につき40㎡以上280㎡以下)

 

2.「軽減・控除」特例の計算例                        

*計算条件
新築住宅(認定長期優良住宅ではない一般の住宅)
宅地・・・100㎡ 固定資産課税標準額は1,750万円
住宅の床面積・・・120㎡ 固定資産課税標準額は1,050万円

宅地:1,750万円×1/6(小規模住宅用地の軽減の特例)×1.4%(標準税率)≒40,800円
住宅:1,050万円×1.4%(標準税率)×1/2(新築住宅控除の特例)=73,500円
固定資産税納付額:40,800円+73,500円=114,300円

  • *住宅の固定資産税は初めての納付から3年間は73,500円(3年間の軽減措置)ですが4年目には147,000円となりますので、4年目から固定資産税納付額(土地+住宅)は187,800円となります。
  • 注:固定資産税は固定資産評価額を課税標準として計算されますが、3年に1回見直し(評価替え)が行われます。この見直しの年にあたったり、税制改正による税率改定や特例の内容が変更になった場合は前年度の税額と異なりますので注意が必要です。

住宅ローン控除とは住宅ローンを組んで、マイホームを購入したり、省エネやバリアフリーなど特定の改修(リフォーム)工事をしたりすると、年末の住宅ローン残高の1%が10年間にわたり所得税から控除される制度をいいます。所得税から控除しきれなかった場合は翌年から支払う住民税から13万6,500円を上限に控除されます。

【一般住宅の場合】控除対象借入金の年末残高4,000万円・・・最大控除額400万円

居住の用に供した年 控除期間 各年の控除額の計算
平成26年4月1日
~令和3年12月31日
10年 1~10年目
年末の残高の1%
(限度額40万円)

【認定住宅の場合】控除対象借入金の年末残高4,000万円・・・最大控除額500万
*認定住宅=「認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」

居住の用に供した年 控除期間 各年の控除額の計算
平成26年4月1日
~令和3年12月31日
10年 1~10年目
年末の残高の1%
(限度額50万円)

3.『所得税・住民税からいくら控除されるか計算してみましょう』
*所得税から控除しきれなかった場合のみ記載しています。                        

年収500万円
所得税:10万円
翌年の住民税:23万円
住宅購入価格4,000万円(内 建物価格1,500万円)
住宅ローン借入額3,000万円
ローン期間35年
金利:1.29%(ARUHIフラット35 2021年1月金利)

一般の住宅の場合

*2年目から10年目まではそれぞれの年末残高を下記の計算式に当てはめる
1年目の住宅ローンの年末残高:2,931万円

①住宅ローンの年末残高×1%=29万円・・・控除額
所得税100,000円ー控除額290,000円=ー190,000円
⇒所得税は0円となり190,000円は引ききれなかった
*190,000円は所得税から引ききれなかったので翌年分の住民税から控除される
⇒住民税控除額の上限は①②のうち小さい方の金額
a:136,500円
b:課税所得×7%

②控除額上限が上記a:136,500円の場合
住民税230,000円ー136,500円=93,500円
⇒住民税は93,500円に減税される

③所得税控除額100,000万円+住民税控除額136,500円=控除対象税額236,500円

上記「固定資産税」「住宅ローン控除」の計算例を基に住宅ローン控除期間中と住宅ローン控除終了後に支払う「所得税」「住民税」固定資産税」はいくら?

*年収・所得税・住民税・固定資産税とも変化しないものとして計算
(単位:万円)

ローン残高 所得税から控除される額 支払う所得税 翌年支払う住民税 支払う固定資産税
1年目 2931 29 0 9.35 11.43
2 2862 28 0 9.35 11.43
3 2792 27 0 9.35 11.43
4 2721 27 0 9.35 ①18.78
5 2649 26 0 9.35 18.78
6 2576 25 0 9.35 18.78
7 2503 25 0 9.35 18.78
8 2428 24 0 9.35 18.78
9 2352 23 0 10 18.78
10 2276 22 0 11 18.78
住宅ローン控除終了 ②10 ②23 18.78

「支払う税金の増えるタイミング」
①4年目には固定資産税の支払いが7万円も増える
②住宅ローン控除終了後は所得税・住民税の控除はなくなる

4.【まとめ】                                        

一般的に住宅ローン控除期間中は子供が成長し、食費や光熱費などの生活費や教育費の出費が大きく増えていく時期に重なります。さらに、住宅ローン控除期間が終了すると所得税・住民税の支払いが一気に増えてしまいます。住宅購入資金計画には「固定資産税の軽減や控除の特例」や「住宅ローン控除における住民税の控除額」の変化も反映させて「住宅購入の資金計画」をたてることが重要になってきます。また、固定資産税は固定資産評価額の見直しが3年に1回行われますが、当初購入した時より地価が高騰していれば固定資産税も上がりますので、その点も充分に考慮しましょう。

「マイホームは人生で一番高いお買物」といわれています。
住宅購入に特化したファイナンシャルプランナーに「ファイナンシャルプランニング」をしてもらい、住宅購入から老後生活までのキャッシュフローを明らかにした上で「安心して」住宅購入をすることをお勧めします。